2:返事に時間がかかる
次なる通信教育のデメリットは、お返事がとても遅いことです。
「本の内容が古い」と「本の通りにやってもできない」状態になります。
通信教育を頼む方の多くは、ネットだけではクリスタと仲良くなれない方が多いです。
溢れる情報を精査するスキルが弱い傾向にあり、トラブル解決は販売元が頼りになります。
しかしこの販売元への問い合わせは、とにかく返事が遅いのです。
なぜ遅いのか?
基本的に、販売元の問い合わせ窓口の方はクリスタの専門家ではありません。
「クリスタ イラスト 講座」などで検索し1~2p目に表示されるようなメジャー講座なら、クリスタ以外にたくさんのコースを運営しているでしょう。
「○○資格」など100以上の講座があり、コスパのいい講座で儲け、その儲けでコスパの悪い講座も成り立たせています。
コールセンターはそれらすべての講座の問い合わせをまとめて受ける、事務の人にすぎません。
よって「お問い合わせを受け付けました。確認して折り返します」という対応になるのです。
このような手順を踏むこととなり、1つの問い合わせに数日~1週間ほどかかりがちです。
さらにデジタル初心者さんは、困っていることを的確に伝える技術がまだありません。
まるで伝言ゲームのように聞きたかったことの本質がずれていき、「やっと返事が来たけど欲しい答えはこれじゃない」となりやすい。
するとまた問い合わせをし、数日~1週間ほど待たねばなりません。
「困ったことはすぐ返事がもらえる!」という謳い文句は「専門家に確認して折り返します」という返事をさします。
「困ったことはすぐ解決できる!」という意味ではないのです。
SKさんも「クリスタのインストールの説明が本と画面で違うのでわからない。どうしたらいいですか?」というトラブル解決に、約1か月かかったそうです。
さぁクリスタ始めてみっぞ! と漲っていたやる気は、この時点でだいぶ薄れていたとのことでした。
3:ターゲットとずれていると対処しにくい
「おいそれとテキストを更新できない」けど「講座として長期間成り立たせる」には、前述したように「バージョンに影響されにくい基本事項をメインにする」方向となります。
ならば自然と、講座のターゲットは「基本事項を使いこなす必要がある人」になってきます。
- デジタルでラフや下絵を描く
- 線画をきっちり入れる
- ベースの色をきっちり塗る
- 影や効果をきっちり入れる
- 同じように背景もきっちり描く
- グラデや色調補正など様々な効果を使いこなす
だいたい、こんな目標を達成するためのテキストになります。
フルデジタルであらゆる機能を使いこなした、プロのようにきちんとした作品を描きたい人がメインターゲットになるのです。(ここでの「フルデジタル」は「アナログの工程がないこと」という意味です)
この方針はとても正しく合理的で、需要があります。
基本事項のわかりやすさに特化したテキストには、それだけでも価値があります。
大は小を兼ねるので、受講者さんはこの中から自分に必要な項目をピックアップして、自分の作品に活かせます。
しかし、自分に必要な項目をピックアップできないのが初心者さんです。
自分がやりたいことには何が必要か分からないから、ひとまずテキストの最初から愚直にひとつづつ項目をこなしていきます。
すると、プロのような作品作りを目指していない方や、テキストで紹介されている作風が自分と合わない方には、不要項目が大部分を占め心が折れてしまうのです。
いうなれば「ホットケーキがつくれるようになりたいな」と思っている人に、「食材や調理器具を的確に使うプロ職人育成テキスト」がある状態です。
「出来はそこそこでいいから早くホットケーキ食べたい」のに、「正しい和風だしを取るために鰹節を削る練習」を勧められているのです。
テキストにそう書いてあるから……と美しい鰹節を削る練習を頑張りますが、やりたいのはこれじゃない感が増してモチベが減っていきます。
SKさんの例でいうと、目標は「アナログトーンを使わずに、手軽にtwitterやpixivに作品をUPできるようになりたい」というものでした。
お話を伺うと、以下のようなラフめな画面で十分だとわかりました。
ですがテキストは以下のような作品作りを想定しています。
削除されにくいツィートを選んだため通信教育によくあるテイストと少し違いますが、「デジタルの基本を駆使したプロのようにしっかりした作品」という方向性と思って頂ければOKです。
そしてSKさんは、せっかくお金を払ったからと、時間を作ってコツコツとテキストや課題を頑張りました。
その軌跡がこちらです。
付箋がたくさん貼られ、ページ内にもメモが多く、本当に頑張っているのが伝わってきます。
こんなに頑張っているのに、一向にやりたいことへたどり着けない。
むしろ一生懸命やったことで、「課題をこなして目標に近づく」のではなく「課題をこなすこと自体が目標」にすり替わっていたのです。
何事も、上達には「楽しさ」が必要です。
何を楽しいと感じるかは人それぞれです。ニーズに合った対応が不可欠ですが、初心者さんは自分でニーズに合わせに行くスキルがまだないため、目的を見失いやすく、通信教育のテキストを活かせない傾向があります。