こんにちは。初心者さんのデジタル化をサポートする南乃フリュです。
「漫画家さんに片付けをすすめる理由」と「クリスタの通信教育について」を書いてみて、「伝わる文章」の面白さと難しさに直面しています。
ネームと同じで文章にも型とポイントがあり、それを使う練習ができて面白い。
だけどわかりやすく、誤解なく伝えようとすると長くなってしまう。
いろんなチェックをしつつ試行錯誤していますが、まだまだ記事を量産できるレベルになりません。
いつ来ても新情報がある! なんて更新の早いサイトは作れそうにないので、実現可能なペースで運営できたらいいな。
3つ目の記事は「リスニングについて思うこと」を語ります。
ヒアリングとリスニングの違い
日本語では一般的に「ニーズを聞き取る」行為を「ヒアリング」と言いますが、私はクライアントの話を聞く行為は「リスニング」と思うようにしています。
英語では「ヒアリング」は「自然に聞こえてくる」、「リスニング」は「よく聴く、耳を傾ける」というニュアンスがあると知ったからです。
日本語では「相手の話を聞き、情報収集をする」という意味で「ヒアリングを行う」と使いますが、英語でhearingは「聴覚、聴力」の意味や、「起こした行動に対する理由、考え方などを説明する機会」、つまり「公聴会や公判」という意味になってしまいます。
「ヒアリング」に“hearing”はNG!【通訳者は聞いた!現場で飛び交うNG英語】
和製英語と割り切ってヒアリングでもよかったんですが、せっかく正しい意味を知ったのでリスニングにしようと思いました。
(似た言葉で「カウンセリング」「コーチング」「ティーチング」「コンサルティング」などもありますが、そちらはまたの機会に)
違いを知ったきっかけは、ブログ用の画像検索でした。
私はクレジットなしで商用利用ができ、改変もできる「BURST」をよく使います。
こちらは英語ベースのサイトなので、検索欄に英単語を入れることが多いです。
Google翻訳で「ヒアリング ⇒ Hearring」と変換し、画像を探したら全然素材が出ないのです。
試しに「傾聴 ⇒ Listening」で探してみると、イメージ通りの素材が出てきました。
「そういやヒアリングとリスニングの違いって何だろう」と意味を調べ、私がしたいのは「リスニング」だとわかったのです。
リスニングの重要さ
サポートに失敗した現場
コロナ真っ盛りの2020年、私はとある現場のデジタル化に失敗しました。
当時の私が担当してきた中で最も難易度の高い現場でしたが、事情説明には個人のプライベートな情報を書かざるを得ないので、ここでは詳細を省きます。
もともと私はその先生をデビュー作から応援しており、10年以上のファンでした。
ご依頼を頂き、事情をお聞きして、絶対力になりたいと思いました。
いま振り返っても、私なりに死力を尽くしたと言い切れます。
クライアントの方も「こんなにしてくれたのに諦める決断となり申し訳ない」と泣きながら謝るくらい、互いに全力で挑戦し、挫折をしました。
それから約1年、なぜ成功できなかったかを考え続けました。
思いつく要素はたくさんありましたが、一番は私の傾聴スキルの低さと見通しの甘さだったと思います。
思い知ったこと
「傾聴」とは、相手のいうことを否定せず、耳も心も傾けて、相手の話を「聴く」会話の技術を指します。
傾聴とは?(日本の人事部)
私は当時から「その現場に合わせたサポートをしたい」と思っていました。
相手の要望を把握するには、聞き取りをせねばなりません。
しかし私の根はコミュ障です。
人間関係でたくさんの挫折をしてきた経歴が、残念な事実を証明しています。
聞き取りの才能がないのはわかりきっていたので、必要な勉強をしていました。
記事や本を読みこみ、ポイントをまとめ撮影し、移動のたびに見返しながら、やるべきことを毎回シミュレーションする日々でした。
その現場に合わせたサポートは、序盤はうまくいっていたと思います。
少なくとも、1回目の原稿サポートは問題なく終わりました。
ですがサポート2回目の原稿で、私は取り返しのつかない失敗をしました。
先生のご意向を最優先できなかったのです。
この原稿が上がれば数年ぶりに念願の新刊が出せる回でしたが、物語上、妥協できる箇所の少ない回でもありました。
他現場とスケジュール調整してもサポート日数の限界が見え、希望通りの画面で納品するのは無理だとわかりました。
「今月は諦めて、来月のどこかで続きをしたい」と言っていただきましたが、来月、私は入れない。隔月連載だったので、次の予定は2ヶ月後。空き時間はありませんでした。
そこで「どうにかして今月のサポート期間で原稿を納品したい」という「自分の都合」を優先し、「もう頑張れない」という先生を励まして説得する方向にもっていってしまったのです。
サポートに入る前に「●●や▲▲といった事情があり、普通の漫画家のようにできないかもしれませんが、◆◆は妥協したくありません」と、具体的で明確なご要望をお伝え頂いていました。
にもかかわらず、私はその要望を尊重できませんでした。
今思うと、先生は「その提案は納得できない」「もう無理かもしれない」というSOSをたくさん出していました。
でも私は寝不足と調整すべきことの多さで視野が狭くなっており、SOSに気づけませんでした。
「傾聴 = リスニング」には3つのポイントがあると言われます。
- 自分の価値判断を優先せず、相手を否定しないこと
- 相手が本音を語っているか、声以外の要素(表情、しぐさ、姿勢など)から判断すること
- 言葉の裏の気持ちを推測し、受け止め、共感すること
当時の私は、現場の難易度を見誤り、ハードルの高いスケジューリングをしたことで、傾聴を十分に行う余裕を確保できませんでした。
私とクライアントは対等で、どちらかが偉いなんてことはありません。単に役割が違うだけです。
しかし「習う」という立場の先生には、私に強く意思を伝えられない方もいます。
スケジューリングの判断も、デジタル初心者さんの現場は私に一任するしかありません。
このクライアントのケースなら、ネームの段階で作画の難易度が高いことは確定していました。
よって「今のスタッフと環境で満足いく画面を作るのは難しいので、編集さんに掲載月を1月延ばす交渉をしたほうがいいと思います。〆切を再優先するなら、これとこれは実現が難しいので、妥協する覚悟をしたほうがよいです。先生はどうしたいですか?」と、早い段階で話をするべきでした。
本音を教えてもらえるような関係や雰囲気を構築維持したうえで、実現可能な計画を立てるのは、私がやるべき仕事です。
そしてプロフィールに書いたように、私の仕事は「誰かの決めた目標に受講者さんが合わせる」既存のサービスでフォローできない方を助けることに一番の価値があります。
なのに、それができなかった。私の決めた目標に合わせようとしてしまった。
「現場に合わせる」「クライアントに寄り添う」ことの難しさを痛感したのです。
デジタル化コーチとして絶対に越えなければならない壁の姿が、明確になった出来事でした。
明確な方針
それ以降、私は方針を改めて決めました。
- 本人の納得を最優先すること
- 私の考えを伝えすぎないこと
- 必要とされる限り、私なりに頑張らせて頂くこと
常に100%希望通りの対応はできませんが、私も試行錯誤をしながら、精一杯サポートをしていきます。
おわりに
自分語りになってしまいましたが、このエピソードは、サイトを公開した瞬間から誰でも読めるようにしたいと思っていました。
受講者レビューは成果をあげられた方の意見が多くなります。
失敗したケースは内容チェックの連絡が難しく、「これ自分のことだ。勝手に公開されて不快…」となりかねないので、なかなか公開できません。
するとまるで神のように、救世主のように、「私に身も心も任せればすべてが100%うまくいく」というイメージを持つ方もいらっしゃると思います。
でも私は失敗もするし、知らないこともたくさんあって、イメージと違う行動をとってしまうかもしれません。
失敗の防波堤を作るなんて格好悪さの極みですが、私の器以上の成果を上げられないのも事実です。
講座や私のスタンスを知っていただき、そのうえでご依頼して頂けるよう、最低限の準備をさせて頂きました。
こんな私ですが、マイペースに頑張っていきます。
どうぞよろしくお願いします◎