漫画・イラストを教えています
お久しぶりです◎ そろそろ近況報告せねばマズイくらい、twitterもブログも放置中のフリュですが、元気です。
コーチを名乗るようになってから、思いもよらぬ依頼の連続。
病院や編集部に付き添ったり、北海道に行ったり、調べ物をさばいたりしていて、24時間があっという間です。
7月にピークが来そうなので、貰った質問の回答など8月から着手したいと思います。(長らくお待たせしてすみません!)
今回は意外に多い「プロットを一緒に考えてほしい」を語ります。
プロットに自信が持てない
クリスタ導入やリモート体制の確立がメインの依頼なのですが、特にプロからは「プロットやネームを一緒に考えてほしい」という要望も多いです。
理由は大きく分けて2つ。
「編集さんとの相性が悪い」と「ひとりだと迷走する」です。
このどちらか、もしくは両方によって、プロットに自信を持てず、ネーム以降がスムーズに行かないケースが多々あります。
(プロと趣味では重視するところが違いますが)ネームに納得していないと表情や演出が固まらず、悩む時間が増えます。
クリスタやリモートの効率化を図っても、その他の段階で躓き、進行が遅れてしまうのです。
編集さんと合わない
編集さんとの打ち合わせで成果が出ない。これは投稿者・作家あるあるです。笑
作家さんも編集さんも人間なので、どうしても相性が合わないこともあります。
じっくり打ち合わせれば解決しそうでも、忙しくて時間が取れないこともあります。
また、コロナ渦で電子書籍が跳ねたこともあり、スキルのない編集部やレーベルが激増した時代背景もあります。
営業や事務など畑違いの分野から人数合わせで異動してきたような、お話作りができない肩書だけ編集が大量に生まれ、実力者と組める確率は下がっています。
相手にスキルがなかったり、アドバイスの方向性が違うのに、「編集さんのいうことだから、なるべく飲まなくちゃ」と考えていると、物語は迷走しがちです。
そんな時は「担当さんと2人で話を作らねばならない」という固定概念を捨てましょう。
作家と編集は対等であり、いい作品を作るためのパートナーであるという基本に立ち返りましょう。
何度か試してうまく成果が出ないなら、見切りをつける勇気も必要です。
ネームタンクさんなどの外部サービスや、AIを使うなど手段はいろいろあるので、ぜひ自分に合った相手を見つけてください。
私もプロットやネームを一緒に練ったり、編集との打ち合わせに同行したりしています。
実際の例は、先生の許可がでたら別の記事で紹介します◎
ひとりで迷走
「迷走」には複数の原因があり、どれも対処が違います。
今回は特に多い「ネガティブ思考」「不安思考」について取り上げます。
小麦など特定の食物が原因だった方もいますし、糖尿病や甲状腺ホルモン異常が原因の場合もありますが、今回は医師の診察なしでできることを紹介します。
ネガティブのループを断つ
人間は、一人で考え込んでもいい結果は出にくい生き物です。
群れをつくる動物なので、孤独に弱いんですね。
不安でいっぱいの時にひとりで明るい話を作ろうとしても、うまくいかない場合が多いです。
不安をバネに頑張れる方もいますが、頑張れないタイプの方も大勢います。
今の自分はネガティブ思考に囚われていないか? 立ち止まって考えてみましょう。
とはいえ、ネガティブを自覚するのは意外と難しいんですよね。笑
特に30代後半を超えると、体のそこそこに不調が出始め、体の不調に心が引っ張られます。
老眼、生活習慣病、更年期障害、親やペットの介護や病気……と、ライフステージの変換期も重なってきて、受け入れるしかないことが増えていきます。
さらに今の状況は、コロナ渦で人と触れ合う時間が減り、孤独になり、不安が増しやすい環境にあります。
髪がちょっとづつ伸びるように、じわじわネガティブになるので、悪化に気づきにくいんです。
お話作りで自分と向き合う時間は必要ですが、ポジティブに向き合うことが重要です。
- 好きな漫画やアニメを楽しめるか?
- お笑い番組で笑えるか?
- 部屋が荒れていないか?
- 歯磨きやお風呂をサボって不潔になっていないか?
- 不安な未来ばかり考えていないか?
- ポジティブな雰囲気の人と話したのはいつか?
ぜひいろんな視点から、自分を分析してみてください。
そしてネガティブルートにハマっていたら、観劇に行く、友達と会う、緑豊かな公園に行く、猫カフェでスキンシップなど、外部の生エネルギーを摂取してみましょう。
朝日を浴びる、お肉を食べる、散歩をする、運動する、偏向報道を断つ、思い切って寝る時間をとるのも有効です。
片付けで動線を見直す、食洗器で負担を減らす、コーデを決めて制服化する、家政婦さんを使ってみる…など、優先順位が低い事柄のコスト減も効果があります。
特に片付けについては、以前ブログを書いています。
精神科医の益田雄介さんは、脳の構造や仕組み、精神医学の観点から不安との付き合い方を解説しています。
「考えてるのと悩んでいるのは違う」「ストレスを解消するのではなく、消化できるようになろう」というわけです。
人間は機械じゃなく動物です。
群れをつくる動物として本能を労わって、「自分という画材・仕事道具」のメンテをしましょう。
ネガティブを乗り越える
ネガティブを癒すのではなく、乗り越えたいときは、セリフを叫びましょう◎
アホだと思うでしょ? でもこれ効くんです。アシ時代、声出しする現場は結構ありました。
動画ではADHD(発達障害、注意欠如多動症)の人向けになっていますが、定型発達でも使えます。
〆切直前の修羅場が主な使い道でしたが、私はプロットが不安でうまく行かないときも一人で叫んでいました。笑
「眠い。不安になってきた。なんでもいいから面白い話をして」はよく言われましたし、作業用BGMからキラーワードを連呼して大爆笑はしょっちゅう。
「やればできる!やればできる!諦めるなぁ~~~~!!!」と、松岡修造さんモードで合唱。
「(原稿は)あがるっあがるっあがるっあがるっアハハハハハハ~!!!!」と、アニマル浜口さんを脳内降臨させ、叫び散らかしたことも数知れず。
死ぬほどへたくそなボレロの「ドーン、チーン、ジャァ~~ン」を踊ったり、テニスの王子様(ミュージカル)の伝説の空耳「お前のクルルなガッツを見せてグェ~~~!」をヘッドバンギングしたり、「あいつこそがテニスの王子様を全部バ行で歌ってみた」は歌いすぎて歌詞を暗記しました。
無意味にキャラの必殺技やネタセリフを連呼……などなど、奇行は数知れません。
でも、それでいいんです。
講座中、(これは不安が大きくて話が入っていないな…)と感じたら、アホな話で盛り上げ、声を出して笑ってもらいます。
応援、声出しは効きます。ついでに目を閉じて深呼吸も効きます。
不安に偏った脳内回路を切り替え、酸素を取り込むんです。
エナドリよりも健康的。ポジティブなエネルギーを生みましょう。
作劇のコツ
不安はないけど、うまく話が作れないケースもあります。
そんなときは、自分のスキル不足です。知識や対応を変えましょう。
ネタだしの環境
たとえばこれは「ネタだしが上手くいかない」という相談に「壁にメモ貼るのはどう?」とアドバイスし、改善した例です。
(ソースは忘れましたが、「かぐや様は告らせたい」「【推しの子】」などで知られる赤坂アカ先生が、ホワイトボードを使っていることを紹介し、壁で代用しました)
ホワイトボードは、一般企業や研究機関でも使われます。
有名なのは、シアトルにあるAmazonの本社。
エレベータの中、廊下、室内、いろんな壁がホワイトボードになっています。
思いついたらすぐ書き留める、わからないことに誰かが回答を書き入れるなど、アイディアの連鎖が起きる環境になっているのです。
(カンブリア宮殿「世界中のライフスタイルを変えよ!アマゾン帝国の全貌」でも紹介されました)
たったこれだけで? と思うかもしれませんが、「これだけ」のことにつまづき、全体の流れが滞っているケースは多いです。
Apple製品なら、無料の純正アプリ「フリーボード」というデジタルホワイトボードもあります。
メモやノートを失くしてしまう方には、特におすすめです。
「お風呂でアイディアが湧くことが多いが、忘れてしまう」なら、耐水メモやホワイトボードをお風呂に導入してみましょう◎
「字を書くうちに忘れてしまう」なら、スマホに音声メモをしましょう。ボイスレコーダーもアリです。
お風呂やトイレでアイディアがひらめくのは、「ひらめきのシャワー効果」というよく知られた現象です。
「デフォルト・モード・ネットワーク(ぼんやりしているときに活動する脳の領域)」や「マインド・ウォンダリング(心の迷走)」などの心理学用語で知られ、研究結果もあります。
アイディアを思いつく状況を知り、逃さない工夫を生活に取り入れるようにしましょう。
得意・不得意の傾向を知る
自分がつまづきやすい箇所はどこなのか、把握しておくことも大事です。
自分をキャラに見立てて、レーダーチャートをイメージしながら、得意・不得意を知っておくと対策しやすくなります。
まずはアイディア~プロット完成までの流れにつまづきがないか、振り返ってみるといいでしょう。
作劇には「キャラから作る」「シーンから作る」「設定から作る」「流れから作る」……など、いろんなタイプがありますが、「香山哲のプロジェクト発酵記」は、プロ作家の一例として、漫画で流れを詳しく知れます。
「香山先生と同じにしなきゃいけない」ではなく、香山先生くらい「己を知っていると対策しやすい」という目線で、自分に活かすのがポイントです。
スケジューリングが苦手なら、第三者に相談してみたり、過去のペースを分析するといいでしょう。
「能力以上の目標を立てる→達成できない→自分を責める→無理な目標に再挑戦→達成できない」というループにハマり、病んでいるケースは案外多いです。
「みんなと同じペースでやれないダメ人間だ」と自分を責めても、メリットはありません。
誰にでも得意不得意があって当然です。
水タイプが炎のわざを使っても、効果はいまひとつ。なら、水の特性を活かした戦略に変えるべきです。
構成が苦手なら、「ストーリープロッター」「Nola」「SS Writer」「Notion」などのアプリを使うのも手ですし、前述した壁やホワイトボードもおすすめです。
作画が苦手なら、資料の集め方を見直す、アタリの取り方を変える、3Dを使う、加工を使うなど、別の手段を試しましょう。
指示が苦手なら、チャットじゃなく画面共有の通話をする、デジタルスキルを上げて自分のできる範囲を増やす。
マニュアル(指示書)を作る、打ち合わせの時間帯を固定する、AIを使って人と関わる頻度を減らす……など、様々なルートが考えられます。
ゲームプレイヤーがキャラを評価するように、俯瞰で自分を評価できると、「なるべく気をつける」などの精神論以外の対策ができ、流れを変えるきっかけになります。
知識をつける
漫画っていうものは、やっぱり勉強は必要なんです。
赤坂アカ、インタビュー
だけど、どういうふうに勉強するかというのをまだ分かっていない人が多いと思うんです。
たとえば、こういう脚本術の本とか買ってみてもいいかもしれません。
「知識をつけよう」「勉強しよう」と多くの先輩方がおっしゃいます。
天性のものだけで結果を出す方もいますが、足りないものがある方のほうが多いです。
ここでは例として、私が良く薦める本を紹介します。
なお、教本には相性があります。活字がどうしても苦手という方もいます。
いろいろ読んでみる、動画を探してみるなど、ぜひ自分で合う師匠を見つけてください◎
これらの内容は、私が教えることもよくあります。
漫画業界は、活字が苦手だったり、時間がない方も多いからですね。
入門編
3冊とも、漫画で描かれた本なので読みやすいです。
構成重視、キャラ重視、萌え重視…と、3タイプ選んでみました。
作家によって何を重視するかは違いますが、最低限、「こういう考え方があること」は理解しておくといいでしょう。
漫画家が描く「マンガの描き方漫画」は、探すとたくさん出ています。
作画ではなくお話作りに比重があるものも多いので、時代・年代を問わず読んでみるといいでしょう。
結構、共通点が見つかって面白いですよ。
じっくり編
入門編の内容を詳しく解説していたり、練習方法が載っているものです。
キャラつけ、序破急、起承転結、ストーリーライン、コントラスト、リアリティライン……などの「作劇スキル」が理論的に学べます。
ジャンルや人によって方向性や言葉は様々ですが、いくつか知ると「共有する項目」が掴めてきます。それが使えるようになると、作劇は大きく前進します。
文字がぎっしりで厚い本もあるので、無理せず興味がわいたものに挑戦するのがおすすめです。
興味がわく項目だけ、つまみ読みするのもいいでしょう。
この系統は山ほど出版されています。ピンとくるものに出会うまで、「脚本」「物語」「シナリオ」「法則」などのキーワードを組み合わせて検索してみましょう。
なお、これらは「絶対に守らねばならないルール」ではありません。
物語は、最終的に面白いものができれば過程は何でもいいのです。
「型や理論にはめること」ではなく、「(必要に応じて)型や理論を利用すること」が重要です。
知識は補助であり、武器の精度であり、枷ではないと胆に銘じましょう。
また、「模倣は悪だ」「なにも参考にせず、ゼロから生み出すものが正しい創作だ」と思いこんでいる方がいますが、100,000,000%間違いです。
盗作は論外ですが、どんなプロも最初は模倣からスタートします。
「クリエイティブの授業」は、そんな勘違いを打ち砕く名言の宝箱です。
安心して先人の知識を吸収してください。
導入編
作劇のコツが知れるメディアやインタビューもたくさんあります。
これらは「入門編」「じっくり編」の知識を、具体的にどう採用しているか垣間見れます。
作画に比重がありますが、浦沢直樹先生の「漫勉」「漫勉neo」は、現役作家も見ている率が高いです。
好きな作家だけでなく、ミュージシャン・ファッションデザイナー・ゲームプロデューサーなど、別ジャンルのクリエイターもヒントの宝庫です。
私は関ジャムをよく見ます。最近は BUMP OF CHICKEN 特集が面白かったです。
たくさん見聞きしていると気づきます。
「人によって対応が違うな」「でもコレとコレは同じ意味だよね」と。
いろんな取り入れ方やスタンスがあると知ることで、自分には何が合う? を考えやすくなります。
終わりに
あなたはどうなの?
偉そうに上から目線でアドバイスしていますが、私自身も似たような壁の経験者です。
これらは投稿者・作家だった時、ストーカーに合っていた時、クライアントとぶつかったとき、「やってよかったな、やるべきだったな」と思ったことが多分に含まれます。
その反省を生かし、人に話す、文字に起こすなど、「脳内会議」以外のアクションを挟み「具体化」するようにしています。
とはいえ、私も超人じゃありません。肩書がコーチに変わっても中身は同じ。悩みすぎてプロのカウンセリングを受けることもあります。
クライアントのプライベートに深くかかわることも多く、おいそれと友達やお店で話せない。
小娘のスペックでは限界があるのに、相談相手が限られてしまい、ドツボにハマりやすい。
病気と言えるくらい病んでいなくても、「もう、どうしていいかわかりません!」とメンタルクリニックのカウンセラーさんに号泣し、(問題は解決しなかったけど)気持ちが持ち直してうまく行った、なんてこともザラです。
お金を払って愚痴を聞いてもらうのです。一人で抱えない。これが重要です。
ビジネス書も読みますし、専門家Youtuberの動画も見ますし、講演会にも参加します。教える立場の私も、自分以外を頼っているんです。
だから、あなたも頼ってください。
「自分一人で壁を乗り越えるのが正しい」という努力神話を卒業しましょう。
頼り、頼られて、人間や社会は成り立っています。罪悪感は要りません!
まとめ
編集と合わない
- 作家と編集は対等であり、いい作品を作るためのパートナーである
- 「担当と2人で話を作らねばならない」という固定概念を捨てる
- 見切りをつけ、外部サポートを使う
ネガティブのループを断つ
- 状況を分析し、ネガティブか把握する
- 生活習慣やシステムを変える
- 「群れをつくる動物」として自己メンテする
ネガティブを乗り越える
- 声だし、キラーワード、笑い、深呼吸
- 脳内回路を切り替え、酸素を取り込む
ネタだしの環境を見直す
- アイディアが湧く状況を知る
- アイディアを逃さない環境を作る
得意・不得意の傾向
- レーダーチャートの要領で、自分をキャラに見立てて評価、分析する
- 精神論以外の対策をとる
知識をつける
- 自分に合う師匠を探す
- 枷ではなく、武器の精度と捉える
- ジャンル外のクリエイターなど、幅広く情報を得る
- 自分に合ったスタンスで取り入れる
次回予告
さてさて。ではプロットに悩むクライアントに、私はどう対応しているのか?
次回は実際の例を出す予定です。許可が出たら3人ほど、作家さんのケースをご紹介します。
ここまで読んで頂きありがとうございました!
来てくれた皆さんが素敵な時間を送れますように(˶ᵔ ᵔ˶)