通信教育に向いている人
長々デメリットを話してきましたが、本が主体の通信教育をおすすめできる人もいます。
通信教育のテキストは基本事項を網羅しており、フルカラーでとても見やすいです。
このレベルの教本を一般向けで作るのはコストが高く、なかなか実現しづらいかと思います。
(出版社を通じて本を全国の書店に流通させた場合の費用は「自費出版の世界 ~有隣堂しか知らない世界082~」や「【注ぎ込んだ金額450万円】自費出版の作家の世界 ~有隣堂しか知らない世界085~」などで触れているので、見てみるとイメージがわくと思います)
よって、以下のような方には選択肢になりうると言えます。
1:パソコンやソフトの操作に見当がつく人
自分の画面とテキストの細部が違っても「たぶんこういうことだろう」と予想がつけられるか、ネットなどで自力で解決できるくらいデジタルの世界に触れている方なら、小さなトラブルで躓く率は低く、強いストレスなく学べます。
2:自分にあわせ情報の取捨選択ができる人
テキストには「いますぐ習得しなくていい項目」が多数あります。
愚直に課題をただこなすのではなく、「ここは飛ばしても問題なさそう」など項目に優先順位をつけられる人は、テキストが手厚くわかりやすいので、効率的に学べます。
3:自分で自分の課題を見つけられる人
通信教育の売り文句である「専門家による添削」は、あまり効果的とは言えません。
しかし例外なく褒めたおしてくれるので、モチベアップには非常に有効です。
添削はモチベアップのおまけと割り切り、レベルアップの課題は自分で見つけられる方には、通信教育の選択肢もありだと思います。
4:紙で学ぶのが好きな人
私の受講生を見ていて思いますが、人には相性のいい学び方にざっくり4タイプあるように思います。
- 気軽にリピートでき情報量の多い動画で学びたい人
- 情報が絞られた紙でじっくり学びたい人
- ひたすら実践しながら体で覚えたい人
- ❶~❸の何かを組み合わせるのがいい人
❷のタイプの方には、通信教育のテキストはうってつけだと思います。
5:マイペースに学びたい人
期限や環境に左右されずマイペースにやりたい方にも、本が主体の講座をおすすめできます。
動画メインのオンライン講座もよいですが、アドバンテージの一つである「有用な添削」をもらうには、だいたい提出期限があります。
動画も永久に見れるわけじゃなく「購入から▲ヶ月間見放題」で期限が切れたら再購入が必要な仕様が多いです。
私は以前、動画配信の講座をやらせて頂いたことがあります。
当時の基準からするとなかなか売れたと聞きましたが(笑)、プロアマ問わず「忙しくて視聴期限が切れ、何の成果も得られず直接連絡しました」「回線が弱くて動画が止まりすぎるから面倒になって諦めました」なんてご連絡をくださる方も多かったです。
仕方ないとはいえ、お金を無駄にさせてしまったな……と歯がゆく思いました。
その点、紙の本は捨てない限り消えませんし、通信状況に左右されることもありません。
じっくり取り組みたい方は手元に残る紙も良いと思います。
SKさんの講座
冒頭でご紹介した「通信教育を頑張ったけど行き詰ったSKさん」は、カフェで合計4時間の講座を行い、1回目が終了しました。
当初の予定は1時間でしたが、モチベと集中力が高かったので、延長しますか? と確認しながら区切りの良いところまでやらせていただきました。
「自分の思いをたくさん形にして、みんなとネットで共有したい」という目標達成のため、私が提案したのは以下の4つです。
- 板タブと相性が悪いので線画はアナログにする
- スキャナーや複合機をお持ちじゃないので写メで対応する
- 簡単な色付けの法則と方法を知る
- ネット投稿用ファイルの作り方を覚える
「線画は写メを使う」と言ったら「そんなことしていいんですか!?」とびっくりされていました。笑
同人誌など印刷が必要な目標では別の手段を取りますが、SKさんは「ネットで発表出来るだけでいい」とのことだったので、写メを採用しました。
デジタルは鉛筆や消しゴムと同じ「画材のひとつ」にすぎません。
「ネットに作品をUPするゴール」が達成できるなら、どんな過程をとっても構わないんです。
テキストに「線画を板タブで描こう」とあっても「絶対に板タブを使わねばならない」なんてルールもありません。
自分に合わないなら別の方法を取ればいいのです。
お持ちいただいたノートパソコンが修理が必要な故障をしており、携帯もプランの上限オーバーであらゆる通信が遅いといったアクシデントもありましたが(笑)、手順と機能を説明後、ご自身で一通りの流れを3回練習して頂き、苦手なポイントの補足をしたのち、自宅でひとりでも再現できるよう具体的なメモを作り、解散となりました。
パソコンのスペックの基本的な見方、お持ちのパソコンでスムーズにできる目標と実現が難しい目標、新調するならパソコンとタブレットなど何がいいか、目が痛いときの対処など事務的な内容もさらいました。
故障対応や通信の待ち時間がなければ、計2~3時間で終わっていたと思います。
その夜、Skypeに届いた感想がこちらです。
その後、この記事に事実と齟齬がないか確認して頂いたら、以下のようなコメントを頂きました。
楽しいと思って貰えてよかったです!
というか、こんなにハードルだらけだったのに、数か月も独力で頑張っていたのが素晴らしい~!
楽しいことを続けるのは簡単ですが、辛いことを続けられる情熱は、誰もが持つものではありません。
間違いなく、かけがえのない才能です。
クリスタはできることが山盛りです。これからもっと面白くなります。
情熱をどんどん育て、モリモリ作品を描いていきましょう!
おわりに
講座には相性があります。
SKさんはたまたま私と相性がよく、孤軍奮闘していたぶん感動もひとしおだったようですが(笑)、通信講座が劣っていて、私の講座がすべてにおいて素晴らしいなんてことはありません。
本が主体の通信教育で成果を得る方もたくさんいます。
「自分にあった環境」が最重要です!
私の講座はわりとライブで、予定の内容をテキスト通りに進めることはほぼありません。
実際にお話しすると、あれもしたい、これもしたい、これが出来なかったのを思い出した……と、どんどん要望が出てきて、最初のリスニングで立てた方針通りにいかないことが多いからです。
私のリスニングスキルが足りないのも一因ですが、依頼される初心者さんの多くは「デジタルペイントで何ができるのか、そのために何が必要なのか、イメージできていない」ことが多いです。
一緒にやってみて、自分でもいじってみて、なるほどこういう感じかな? という実感を持って、初めて「ならこんなこともできるかな」と具体的な要望が見えてきます。
要望を読み違えると無駄でしかない時間を過ごさせてしまいます。
「本当はしっくりきていないのに、お世辞や建前で言ってるんじゃないかな?」「あの提案でよかったかな」「こう言ったほうが良かったな」「ここは自分の理解があやふやだったな」など、毎回振り返ります。
そのときの精一杯で、反省はしても、後悔はしないように。
今年もマイペースに頑張ります!
この記事がクリスタ習得でお悩みの方の参考になれば嬉しいです◎
ここまで読んで頂きありがとうございました!
来てくれた皆さんが素敵な時間を送れますように(˶ᵔ ᵔ˶)