通信教育のデメリット
いきなり不利な点を話すのはマナー違反ですが、先に私の考えるデメリットを知っていただこうと思います。
後半に記載する「本が主体の通信教育に向いている人」がイメージしやすくなるからです。
1:テキストの更新が間に合わない
通信教育に限りませんが、本をメインにクリスタを習得する場合、現在のバージョンにテキストが追いついていないことが多いです。
クリスタはアップデートがとても多いアプリです。しかも、機能の追加や仕様の変更がとても多いです。
本は様々な工程が必要なので、この変化の速さに追いつけません。
まず、皆さんは本が手元に届くまでどんな工程があるかご存知ですか?
- 本の構成を検討する
- テキストを推敲する
- 作例を描く
- スクショなど素材をそろえる
- デザイナーがレイアウトを整える
- 紙やインクの手配をする
- 印刷する
- 梱包する
- 倉庫に保管する
- 配送する
軽く思いつくだけでも、これほどの工程と手間が必要です。
そこには必ず経費が発生します。
- 人件費
- 紙代やインク代
- 保管のための場所代
- 改訂版が出た場合は古い版の処分代
特に印刷代、保管代、不要な本の処分代、それらを成立させる人件費はとんでもない額になります。同人誌とは比べ物になりません。
『少年ジャンプの正しい作り方』や廃棄本再利用の取り組み記事などを読むと、企業の本にどれだけの手間や管理コストかかるかイメージがわくでしょう。
在庫がある限り、おいそれと破棄して作り直せないのです。
そして、本はアプデの速さと相性が悪いです。
私はクリスタがそこまで浸透していない時期に、クリスタを開発・販売しているセルシス本社にお招きいただき、中の人と話す機会がありました。
漫画家さんなど数十人のプロに要望を聞きレポートにまとめて提出したら、直接話したいとご連絡を頂いたのです。
クリスタは非公開ながら多数のプロに監修され作られています。
なのに当時は講師もどきにすぎなかった私の意見を、直接会ってまで聞きたいと言われるなんて思いませんでした。
対応くださったセルシスの皆さんは本当に真剣で、現場で困っていると知るないなや出来るものから次々アップデートで対応してくださり、私はすっかりセルシスのファンになりました。笑
このフットワークの軽さとアプデの頻度がクリスタの大きな魅力ですが、本にはデメリットになります。
誤解しないでほしいのですが、「絵の基本」「デジタルペイントの基本」といった定型の内容なら、そこまで影響はありません。
むしろ検索が容易で、紙でじっくり読めるのは本の大きなアドバンテージです。
バージョンアップに影響されにくいもの
【絵の基本】
パース・デッサン・構図・キャラデザ・明暗・対比・配色・演出など
【デジタルペイントの基本】
ツール・レイヤー・合成モード・よくある加工など
しかし「デジタルペイント初めてやねん」という方は、本と自分の画面で、たったひとつアイコンが違うだけでも躓いてしまいがちです
「インストールに自信がないなぁ」「パレットって何?」「レイヤーって何?」という段階の真の初心者さんが通信教育の本で学ぶのは、なかなかハードルが高いのです。
SKさんもそのタイプでした。
ワードやエクセルなど絵と関係ないソフトで事務仕事をしている方でしたが、デジタルペイントに初めて挑戦したものの頼りのテキストが古く、いきなり躓いてしまったのです。